西川歯科医院のめざす総合歯科診療とは、顎生理学(gnathology)に基づき、患者さんの年代にそった“理想的なかみ合わせ”をつくることを目標としたものです。そのためには、“咀嚼する”ことを生体の特殊機能としてとらえ、各診療科で漠然とした見方をするのではなく、総体的観点からのアプローチすることが必要となります。
人体の真ん中(正中線)をまたいで、左右に連結している関節は、実は顎関節だけです。また、その顎関節を診断、治療処置できるのは、歯科医師に限られています。
もし、その歯科医師が、充実した知識や技術をもち、経験を積んでいなければ、顎機能全体の根本的な治療はできず、対症療法にとどまってしまいます。ですから、解剖学と診断学、咬合学、矯正学、歯内療法学、保存療法学、歯周療法学、補綴学、医療機器学等に関して、いずれも高い水準の知識、技術と経験をあわせもった総合歯科診療が求められるのです。
顎生理学(Gnathology)とは、咀嚼機能全体を研究し、実際の治療をおこなう学問です。私たちは、顎関節、咀嚼するための筋肉や靱帯、歯のかみ合わせの3つが調和してはじめて、機能全体が正常にはたらくと考えています。
しかし、依然として、歯科診療では歯牙および支持組織のケア(虫歯治療、歯周病治療)のみ重視され、顎関節とかみ合わせについては、なおざりにされているのが日本の現状です。
人体には、とりまく環境が悪化したときに、なんとか機能を正常に保とうとする機能があります。これを“適応”といいます。
“適応”には限界があります。環境の変化があまりに大きい場合です。人体は正常な機能を保つことをあきらめて、最大限の機能を守ろうとします。ですが、その最大限の機能を得るためには、自らの体を“代償”にしなければならないのです。歯の詰めもの(インレー)ひとつの不調でも、人体は“代償”をはらわなければならないときがあります。
顎機能のひとつ“かみ合わせ”のバランスが崩れた場合には、直接的、間接的な影響があり、顎関節の位置がずれてしまったり、咀嚼のための筋肉や靱帯が緊張してしまったりすることが考えられます。
また、顎機能の不調(咬合不調和)を初期の段階を治療せずに放置した場合、栄養障害・精神障害を引き起こすまでに悪化することがあります。